バスボートってインペラばかり注目されてるけど
ホントは俺の方が仕事してるぜ!
(この部品の気持ちを代弁しました!爆)
先日の問題が、すぐに分かった人も
何のことかさっぱりだった人も、
最後までお付き合いください。
知識はいくらあっても損は無いと思います!
(復習の為、私自身の為に書いているので長文です)
【 問題 】の部品は、
ヤマハ製船外機(エンジン)の
『 サーモスタット 』という部品です。
ボート(船)は、水に浮かぶので、
周りにたくさんある水を利用して
動力(推進機)のエンジンを冷やします。
水冷式エンジンと呼ばれます。
(なかには空冷もあります。)
今回の部品は、エンジンを冷やしすぎないように
調節する弁(バルブ)になります。
それらの総称をサーモスタットと呼びます。
エンジンを冷やす為に水を取り込むのに
冷しすぎないように水温を管理する・・・
一見矛盾していそうですが、
なかなか良く考えられています。
自動車のエンジンでも、
暖気する?しない?でよく議論されます。
アイドリング状態で、
しばらく(2~5分)エンジンを温めて、
走行を開始することです。(暖気運転)
今回の部品が使用されている、
バスボートの船外機(エンジン)は水冷式です。
しかも2ストロークのキャブ式エンジン。
エンジンは、燃料を爆発(燃焼)させて動力を得ていますが
エンジンそのものや燃料にも適温というのがあります。
ハイテクの現代、
1Lあたり20キロ走る軽自動車でも
真夏と真冬は1Lあたり5キロ程度燃費が落ちます。
コンピューターでいくら制御しても
気温は燃焼を大きく左右します。
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インペラで取水する水冷式船外機の場合は
気温に加えて水温も関係します。
真冬の水温が5度として気温が2度とします。
エンジンは当然・・・めっちゃ冷たいです。
いきなり始動しようとしても
キャブ式なら掛かりにくい・・・チョークを引いて
密度の濃い空気を少なくするか燃料の増量をしてやります。
やっと、エンジンが掛かりました!
【ココから本題!】
金属の塊であるエンジンは、
熱によって膨張していきます。
エンジンの適温とは、
この温まってきて熱で膨張した金属の状態を差します!
(温まった状態=基本設計)
温まって熱を廃棄しないといけない状態を
取水した水で冷して出していきます!
しかし、初動の
まったく温まっていない・・・
キンキンに冷えたエンジンは
まったく膨張していない金属の塊!
よくわからない人でもエンジンの
ピストン、シリンダーぐらいは
聞いたことあると思います。
予防接種に使う注射器に
液体を引き込み注射を打たれます・・・痛いやつ!
しかし、注射器にゴムパッキンが付いていないと
液体を引き込むどころか
ほぼ吸い上げることも出来ません。
そのゴムパッキンの役割が、
エンジンでは温まった時に
熱で膨張した金属にようやく備わると考えてください。
(隙間が少なくなる)
冷えたエンジンは、
金属と金属の隙間から燃料を垂れ流し、
もしくは不完全燃焼で最悪の燃費状態・・・
しかも、アナログのキャブ式・・・
2ストロークとなると燃料を
とりあえず噴霧するだけ・・・
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今回の部品は
冷えたエンジンでかなり効率が悪い中、
一生懸命温まろうとしているエンジンに
冷たい水でさらに冷やそうと悪事を働く
冷却水から(この時には悪者扱い!)
温まるまで気長に守ってくれる部品です!
取水した冷却水をエンジンが適温に
温まるまではそのまま退出するように
促す優れモノです!
しかし、こいつ・・・ひねくれ者です!
守るべきエンジンをぶっ壊す権限も
持ち合わせています。
冷却水を完全シャットアウトすると、
エンジンはオーバーヒート・・・
冷却水を冷たい時もバンバン通したがるときは
オーバークールで始動不良・・・燃費悪化!
チョークの使い過ぎや始動不良による
点火プラグのかぶり・・・
セル回しすぎでバッテリー上がり・・・
エンジンの金属部分の
適切なクリアランスが無いことによる摩耗や劣化!
長期的な目でエンジン損傷!
厄介なのはオーナー自身が気が付きにくいこと!
そんな『 サーモスタット 』ですが、
淡水使用だと良か不良かもほとんど見分けがつかない・・・
(明らかに錆びていたら要交換)
新品が不具合品であっても気が付かない!
左 使用品 右 新品
じゃあどうするのか?
わからないなら動かせてみよう♪
コンロで湯を沸かせます!初期水温10.4度
ぶっこんで煮込みます!
32.4度~
いきなり温度計が振り切れましたが
この水温計70度MAXです。
(この間は動画撮ってました)
概ね75度ぐらいでしょうか?
ここまではほぼ同じ様な動きでした!
ここから水温が下降していく様子を見ましょう。
若干バルブの開きに差が・・・
けっこうシビアです!
右の新品は完全に閉じているのに対し
左は少し開いています!
実は最初の画像の時から
ちょっとだけ左はバルブが開いていました!
適水温になっていないのに冷却している証拠です!
わずかな差ですが暖気に時間がかかり、
気が付かないうちに始動不良になる恐れを秘めています。
今回、このボートのオーナーから、
船外機の不調・・・
朝一、始動はするが、
初期の走りだしがいまいち・・・
アイドリングも吹け上がりも・・・いまいち!
とりあえず、そのまま走って
エンジンが温まってきたと感じる時、
一回、温まってからの再始動は問題無いとのことで
サーモスタットの不具合を疑ってみました!
完治するかどうかは浮かんでみて
航行してみないとわかりませんが
どうやらオーバークールの状態っぽいです!
逆ならエンジン焼けてました!(汗)
メーカー推奨の交換サイクルは
インペラ1年ごと、サーモスタット2年ごとだそうです。
淡水で使用なら錆びで固着はなさそうですが
異物噛みこみの可能性もあるので
バスボートオーナーもサーモスタットを
すこし気にかけてやってください♪
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